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亜麻公社商品開発の歴史 |社長が語る、商品づくりの裏側

それぞれの商品が生まれたきっかけは一様ではありません。

 

行政のプロジェクトから始まったもの、雑誌とのタイアップをきっかけに生まれたもの、ベルギーで活動された画家との出会いから形になったものなど、さまざまな人との縁が商品づくりにつながってきました。

 

亜麻という素材の用途や可能性を追求するなかで、食用だけでなく、暮らしやものづくりに生かせる商品へと少しずつ展開してきました。

 

そうした試行錯誤と出会いの積み重ねが、現在の亜麻公社の商品ラインナップにつながっています。

 

2009年から亜麻仁油の搾油や商品づくりに携わってきた現社長に、これまでの商品開発の道のりを振り返ってもらいました。

 

最初に商品化された「亜麻仁油サプリメント」

 

亜麻仁サプリメント

 

当社が最初に世に出した商品は、実は亜麻仁油そのものではなく、油をソフトカプセルに閉じ込めたサプリメントでした。

 

初代の亜麻仁サプリメント

画像:初代の亜麻仁サプリメント

 

酸化しやすいといわれる亜麻仁油を、どのような形で商品として届けるか。そこで考えたのが、亜麻仁油をソフトカプセルに封入する方法です。

 

油を外気に触れない状態で包むことで酸化を抑え、α-リノレン酸を手軽に摂ることができ、毎日の習慣にも取り入れやすい。そうした商品として2004年に開発し、2005年に発売しました。

 

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札幌の老舗・福山醸造と試作を重ねて生まれた「亜麻仁油ドレッシング」

 

亜麻仁ドレッシング

 

続いて商品化したのが、「亜麻仁油ドレッシング」です。

 

2005年、札幌市「食のプロジェクト支援事業」の助成を受けて開発しました。試作を重ね、翌2006年に「和風たまねぎ味」と「練りごま味」の2種類を商品化。製造は札幌の福山醸造さん。

 

価格は1本1,900円(税別)。当時としても決して手頃な商品ではありませんでした。

 

 

初代亜麻仁ドレッシング

画像:初代亜麻仁ドレッシング

 

 

亜麻仁油自体がまだ希少で、原料費や製造コストを積み上げていくと、どうしてもそれくらいの価格になったようです。

それでも、亜麻仁油の価値や商品の背景を理解してくださるお客様に購入いただきました。

   

製造面では課題もありました。

 

まず、販売数に対して製造ロットが大きく、当時の賞味期限は9か月ほど。現在は1年ですが、 在庫を抱えながら販売していくのが大変でした。

 

その後、「和風たまねぎ味」は、亜麻仁油をおいしく食べられる味付けとして好評だったことから、「練りごま味」を廃止し、「和風たまねぎ味」に絞ってリニューアルしました。

 

味も見直し、玉ねぎ味をベースに、亜麻仁油をより食べやすくするため、ゆず果汁を加えました。さらに、化学調味料を使わない仕様にも変更しています。

 

容量や価格も見直し、瓶やキャップなどの資材についても、自社で支給する形へ切り替えました。のちに栄養機能食品としての表示にも対応しています。

 

思うように販売が伸びない時期もありました。それでも、ドレッシングには、亜麻仁油を初めて知る方にも取り入れていただきやすい良さがあります。

 

サラダにかけるという使い方がわかりやすく、野菜と一緒に亜麻仁油を摂る習慣にもつなげやすい商品です。また、贈答品としてご利用いただくことも多く、味や仕様を少しずつ変えながら、現在まで製造を続けています。

 

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雑誌とのタイアップから生まれた「亜麻美人 サプリメント」

 

 

「亜麻美人」は、角川春樹事務所の『美人百花』とのタイアップをきっかけに、女性向けのサプリメントとして商品化しました。

 

北海道産のアロニア果実粉末を配合し、美容や健康をより意識した商品になっています。

アロニアはポリフェノールを含む果実として知られており、ともに北海道産の良質な素材を組み合わせたことも、この商品の特徴です。

 

『美人百花』の読者モニターなど、美容や健康への関心が高い女性たちに意見を聞きながら商品化を進め、それまでの亜麻仁油サプリとは異なり、女性のお客様を意識した商品としました。

 

こうして2009年に「亜麻美人」として発売開始。

 

開発のきっかけになった『美人百花』は2025年に休刊しましたが、タイアップから生まれた「亜麻美人」を今も販売し続けられていることは、感慨深いものがあります。商品づくりにご協力いただいた皆さんにも、改めて感謝しています。

 

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ついに誕生「生食用 亜麻仁油」

 

亜麻仁油

 

亜麻仁油は、私が入社1年目の2010年に企画し、発売した商品です。前任の担当者の時代から商品化を目指していましたが、発売には至っていませんでした。2010年に納得のできる品質に仕上げることができたため、発売しました。

 

ちょうどその頃、2009年産の亜麻が豊作で、とても品質の良い原料を確保できていました。

まずは95gサイズを受注生産で販売し、その後、常時在庫を持って販売する形に変えていきました。

 

 

初代の亜麻仁油

画像:初代の亜麻仁油

 

その後、契約栽培では品質に応じた加算金制度も取り入れました。

良い原料を作っていただいた分をきちんと評価する仕組みにしたことで、原料全体の品質向上にもつながりましたし、種の品質に応じて商品を作り分けることもできるようになりました。

 

販売を始めた頃には、こんなこともありました。

できるだけ低温の状態でお届けしたくて、最初は「冷凍」での予約販売を試みたんです。ただ、亜麻仁油は低温にしても固まるまでに時間がかかります。

十分に固まっていない状態を見て、お客様から「溶けています」とご指摘をいただくこともありました。

 

その後、品質を保つには冷蔵で十分だとわかり、冷蔵での販売に切り替え、これは今も続いています。

 

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亜麻の実(ホールフード)

 

亜麻の実

 

「亜麻の実を丸ごと食べる」という商品は、当時まだ馴染みが薄く、発売してから10年ほどは、なかなか販売が伸びませんでした。

 

少しずつ状況が変わってきたのは、油だけでなく、実そのものに含まれる食物繊維やミネラルなどにも目が向けられ、「ホールフード」という考え方が広がってきた頃からです。

 

当初から一般のお客様向けに、使い切りやすい50gサイズで販売していました。

 

開封後もできるだけフレッシュな状態で食べられる量で、亜麻仁油と組み合わせて購入いただくことも増え、今では定着した商品の一つになっています。

 

商品化にあたっては、安全性を確保するため、研究機関の技術指導を受けながら調理工程を確立しました。安全面だけでなく食味についても改善を重ね、安定して製造できる形にしています。

 

現在も小規模に製造しているため、焙煎した亜麻の実の香ばしい風味を生かせていると自負しています。

 

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亜麻をもっと身近に。石けんというかたち「亜麻の実石けん」

亜麻仁油石鹸

 

亜麻公社が石けんを作るきっかけになったのは、海外や国内ですでに販売されていた、亜麻を使った石けんを目にしたことでした。

 

亜麻を石けんに使うという発想に刺激を受ける一方で、「自分たちなら、亜麻の良さをもう少し違う形で生かせるのではないか」と考え、商品化に取り組みました。

 

ところが専門メーカーに相談したところ、亜麻仁油は主原料として多く配合するよりも保湿成分として、搾り粕はスクラブとして生かす方が適しているというアドバイスを受けました。

 

亜麻仁油や搾り粕をたくさん入れればよい、というものではありませんでした。

 

それでも最初の商品では、夏場に油分がにじみ出ることもあり、配合には課題が残りました。

 

その後、福山醸造さんのH&B事業部にご協力いただき、約10年を経て配合を見直し、現在の形へリニューアル。

 

食用の商品とは違うかたちで亜麻に触れてもらえることや、地元の特産品を使った商品として手に取っていただきやすいことも、この商品の魅力だと思っています。 

 

「亜麻の実石けんフローラルフォレストの香り」をみてみる

 

 

「亜麻の実石けんビターシトラスの香り」をみてみる

 

亜麻仁油とミツロウ。北海道の素材をひとつのワックスに「木と革の亜麻仁油ワックス」

 

亜麻仁油ワックス

 

亜麻仁油は、実は工業用途にも古くから利用されてきた原料です。

 

当社でも、製造工程で生じる食用製品にはならない亜麻仁油を、別の用途に生かせないかと考えていました。

 

そんな中、石狩市で養蜂やオーガニックハーブ園を営む La table verte(ラ・ターブルベール)さんから、「ミツロウと亜麻仁油でオイルワックスを作れませんか」と相談をいただいたことが始まりでした。

 

養蜂で採れるミツロウと、当社の亜麻仁油。この二つだけで北海道産のワックスを作ろうという話です。

配合比も製造方法も、最初は手探り。

試作を重ねながら、工業試験場や札幌の塗料店、当別の家具工房「旅する木」さんにも実際に使っていただき、使用感や扱いやすさについて助言をいただきました。そうして少しずつ調整し、ようやく納得できるものが出来上がりました。

 

現在は当社の商品として販売を続けています。原料は今も亜麻仁油とミツロウだけ。香料や乾燥促進剤は加えていません。

 

亜麻仁油が持つ自然な色味に、ミツロウを合わせることでべたつきを抑え、扱いやすくする。北海道で生まれた二つの素材だけで作った、シンプルなワックスです。

 

木製品や革製品のお手入れはもちろん、少しウェットな質感や落ち着いた艶を楽しみたいときにも使えます。キャンプ道具など、鉄製品のメンテナンスにも使いやすいという声をいただいています。

 

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光と時間を重ねて、描くための油「昔日の画家の油」

 

 

きっかけは、ベルギーで活動されていた画家の方から、ご自身で画用液を製作するために、原料となる亜麻仁油を分けてほしいと相談をいただいたことでした。

 

油絵具に亜麻仁油が使われてきた歴史は古く、15世紀のネーデルラントでは、ヤン・ファン・エイクらの画家によって油彩の技法が大きく発展したとされています。

 

そのご縁から、画材用の亜麻仁油を仕立てる昔ながらの製法についても教えていただきました。亜麻仁油が画用液に使われること自体は知っていましたが、当時は工業的に製造されるものという認識が強く、自分たちで商品化するところまでは考えていませんでした。

 

ところが、画家自身が用途に合わせて画用液を作ることもあると知り、「それなら当社でもできるかもしれない」と商品化に取り組むことになりました。

 

製造には、昔ながらの方法を参考にしています。水と白土、そして太陽の力を借りながら、時間をかけて油の色味を整えていきます。絵具本来の色を邪魔しないよう、できるだけ油そのものの色を抑えて仕上げることが大切です。

 

食用の亜麻仁油にとって、光や時間の経過はできるだけ避けたいものです。ところが画材になると、その性質がまったく違う意味を持ちます。

 

太陽の光を受け、空気に触れながら時間が経つことで、油は酸化重合して少しずつ粘りを増し、乾き方も変わっていきます。油の「乾燥」は、水分が蒸発するのとは違い、油そのものが変化して膜をつくっていくものです。こうした性質は、油絵具を重ねたり、絵具の厚みや筆の跡を生かした表現にも関わってきます。

 

同じ亜麻仁油でも、食用では避けたい「光と時間」を、画材ではむしろ利用する。そこが、この画用液の面白いところです。

 

完成した油には、依頼主の方が「昔日の画家の油」という素敵な名前を付けてくださいました。

作っている数量はわずかですが、昔から画材として使われてきた亜麻仁油の用途を、現在の商品としてもう一度形にできた、思い入れのある商品です。

 

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今後も「暮らしに残したい、亜麻のもの」

亜麻公社の商品づくりの中心にあるのは、やはり「食べる亜麻」です。

 

亜麻仁油に含まれるオメガ3脂肪酸の一種であるα-リノレン酸や、亜麻の実に含まれる食物繊維やミネラルなど、亜麻の実や亜麻仁油がもともと持っている栄養を、日々の食生活でどう取り入れてもらうか。サプリメント、亜麻仁油、亜麻の実、ドレッシングと、商品化してきました。

 

一方で、亜麻には食べること以外にも、昔からさまざまな使い方があります。

石けん、ワックス、画用液もその一つです。その歴史や用途を言葉だけで伝えるのではなく、実際に手に取り、使えるものとして形にしていくことが、メーカーである私たちにできることだと思っています。

 

最初から完成したものができるわけではありません。商品にして、使っていただき、必要なところは直していく。石けんも、ワックスも、ドレッシングも、そうやって今の形になってきました。

 

食べることで健康につながるもの、毎日の暮らしの中で使えるもの、誰かの仕事や表現に役立つもの。亜麻という一つの植物から生まれる「もの」を、これからも一つずつ形にしていきたいと思っています。

 

 

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