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亜麻とは?基本的な知識とリネンや亜麻仁油との違いをわかりやすく解説

亜麻という言葉を聞いたとき、サラリとした肌触りの衣類リネンや、健康志向の高まりとともに注目される亜麻仁油を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、亜麻が一体どんな植物なのかまで詳しく知っている方は少ないかもしれません。

 

亜麻は、古くから人類の生活を衣と食の両面から支え続けてきた、非常に歴史深く万能な植物です。

 

近年では環境負荷の低いサステナブルな素材としても世界中で再注目されています。

 

この記事では、亜麻の基本的な知識やリネンとの関係、亜麻仁油に含まれる栄養成分まで、はじめての方にもわかりやすくご紹介します。

 

亜麻とはどんな植物?

 

亜麻とは

 

亜麻は、アマ科アマ属の一年草です。

世界各地の比較的冷涼な地域で栽培され、主に繊維を採るための「繊維用」と、種子を収穫して油などに利用する「油用」に大別されます。

 

亜麻の栽培時期

亜麻は冷涼な気候に適した植物で、日本では北海道が主要な栽培地となっています。高温多湿には弱く、気象条件によって生育や収量、品質が大きく左右される作物です。

 

油糧用品種では、北海道の場合、5月初旬ごろに種をまくと、播種から約60日で開花を迎えます。初夏には小さく可憐な花を咲かせ、その後種子が成熟し、播種からおよそ120日で収穫期を迎えます。

 

亜麻の花の特徴と花言葉

亜麻花言葉

 

亜麻の花は、透明感のある美しい薄青色や、やや紫がかったブルーが特徴です。品種によっては白や赤などの花を咲かせるものもあります。

 

この花は、朝に咲き始め、ほとんどが午前中には散ってしまうという儚い特徴があります。しかし開花期には毎朝次々と新しい花が咲き、畑一面を美しいブルーの絨毯のように染め上げます。

 

亜麻の花言葉には「あなたの親切に感謝します」「感謝」などがあります。

 

亜麻の歴史

 

亜麻は古くから人類の暮らしに利用されてきた植物で、人類最古の繊維作物の一つとされています。

 

第2回亜麻フォトコンテスト 審査員特別賞 「67年前 農学校による援農(亜麻収穫作業)

 

古代エジプトでの利用

亜麻の歴史は非常に古く、古代エジプトでは重要な作物として栽培されていました。亜麻から作られるリネンは、その美しさから「月光で織られた布」とも呼ばれ、衣服だけでなく、宗教儀礼や埋葬の場でも用いられていました。

特によく知られているのが、ミイラを包む布としての利用です。

 

さらに、リネンなどを何層にも重ね、石膏などで固めて成形する「カルトナージュ」という技法にも使われ、ミイラを覆うマスクやケースなどが作られました。

 

亜麻から生まれるリネンは、古代エジプトの人々の日常生活から宗教・埋葬文化まで、幅広い場面で利用されていたのです。

 

ヨーロッパでの発展

ヨーロッパでも、亜麻は古くから繊維を得るための作物として利用されてきました。帆布や網、衣類などさまざまな用途に使われ、時代とともに栽培や加工の技術が発展していきます。

 

8世紀末には、カール大帝が亜麻の栽培やリネンの生産を奨励したと伝えられています。その後、亜麻の栽培とリネンづくりはヨーロッパ各地の暮らしに深く根づいていきました。

 

中世から近世にかけて、リネンは衣類だけでなく、下着やシーツ、テーブルクロスなど、日常生活のさまざまな場面で使われる重要な繊維となりました。

 

その後もリネン産業は発展を続け、フランスからベルギー、オランダへと続く西ヨーロッパの地域は、現在まで続く世界有数の繊維用亜麻の産地となっています。現在、この3か国で世界の長繊維用亜麻の約4分の3が生産されています。

 

産業革命によって綿製品の大量生産が広がる以前、リネンは羊毛などと並び、ヨーロッパの人々の暮らしを支える主要な繊維の一つでした。

 

日本、北海道における亜麻の歴史

日本に亜麻が伝わったのは江戸時代とされ、当初は薬用などを目的に利用されていました。しかし、この時代には国内で産業として広く栽培されるまでには至りませんでした。

 

大きな転機となったのが明治時代です。

北海道の開拓が本格化すると、冷涼な気候に適した亜麻は、繊維を得るための作物として注目されるようになります。

 

その背景には、北海道開拓を進めた黒田清隆をはじめ、さまざまな人物の働きがありました。

開拓使に招かれた外国人技術者トーマス・アンチセルが北海道での亜麻栽培を提言し、その後、ロシアに赴任していた榎本武揚が1874年に亜麻の種子を日本へ送りました。

 

こうして北海道における本格的な亜麻栽培への道が開かれていきます。

さらに、亜麻を「育てる」だけでなく、一つの産業へと発展させるうえで大きな役割を果たしたのが、技術者の吉田健作です。

吉田健作

吉田健作 画像 出典:『帝国製麻株式会社三十年史』/資料提供:帝国繊維株式会社

 

 

吉田はフランスで製麻技術を学び、帰国後、日本に近代的な製麻業を根づかせるために尽力しました。北海道でも製麻事業の立ち上げに携わり、1887年には北海道製麻会社の設立へとつながっていきました。

 

こうして北海道では亜麻の栽培と加工が広がり、各地に製麻工場がつくられるようになります。最盛期には道内各地で亜麻が栽培され、北海道の農業と繊維産業を支える重要な作物の一つとなりました。

 

出典:『帝国製麻株式会社三十年史』/資料提供:帝国繊維株式会社

 

参考:亜麻読本

 

さらに詳しい亜麻の歴史の変遷やエピソードについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

亜麻の歴史|古代文明から北海道開拓まで受け継がれる文化

 

亜麻の用途

亜麻は、繊維を採る茎から種子まで、植物のさまざまな部位が幅広く利用されています。

 

衣類(リネン)

リネン

 

亜麻の茎から採れる繊維を原料にした糸や布が、リネンと呼ばれます。

さらりとした清涼感のある肌触りと、吸湿性・速乾性に優れていることから、夏の衣類をはじめ、寝具やキッチンクロスなど幅広い用途に使われています。

 

食品(亜麻仁・亜麻仁油)

亜麻の種子は「亜麻仁(アマニ)」と呼ばれ、粒や粉末にしてパンや焼き菓子、料理などに利用されています。

 

また、亜麻仁を圧搾して得られる「亜麻仁油(アマニ油)」には、オメガ3系脂肪酸の一種であるα-リノレン酸が多く含まれており、食用油として世界各地で利用されています。

 

 

塗料

 

亜麻仁油は、空気に触れると酸化・重合して硬化する「乾性油」としての性質を持っています。

 

この特性を生かし、古くから木製家具や建築材などに使用する塗料のほか、油絵具のバインダー(展色材)、木工用ワックスなど、建築や美術の分野でも幅広く利用されてきました。

 

ペットフード

亜麻仁や亜麻仁由来の原料は、犬や猫などのペットフードにも利用されています。

 

種子や油、搾油後に残る原料など、それぞれの特性に応じてペットフードの原材料として活用されています。

 

亜麻とリネンの関係

 

日常的に使われる「亜麻」と「リネン」という言葉。

亜麻は植物の名前で、その茎から取り出した繊維を原料にした糸や布が「リネン」と呼ばれます。

 

リネンをつくるうえで重要なのが、「レッティング」と呼ばれる工程です。これは、微生物の働きによってペクチン質などを分解し、亜麻の茎から繊維を取り出しやすくする工程です。

 

出典:「リネン・テキスタイル」帝国繊維株式会社提供

 

 

かつては、亜麻の茎を川や池、水槽などに浸す「ウォーターレッティング」が広く行われていました。主に水中の嫌気性細菌による発酵を利用する方法で、比較的均一で質の高い繊維を得やすい一方、多量の水を必要とし、レッティング後の排水による水質汚染や悪臭などが大きな問題となりました。

 

そのため、欧州では20世紀半ば以降、ウォーターレッティングから「デューレッティング」へと移行していきました。 

 

現在主流となっているデューレッティングでは、収穫した亜麻を畑に寝かせ、雨や露による適度な水分と、自然に存在するカビ・菌類などの微生物の働きを利用します。

 

これらの微生物がペクチン質などを分解することで、茎の木質部から繊維を取り外しやすくしていきます。天候に左右される工程でもあり、適切なタイミングを見極めることが繊維の品質を左右します。 

 

レッティングを終えた茎は乾燥させて砕き、木質部などを取り除きながら、細く長い繊維を取り出します。

 

さらに繊維を整え、紡いでリネン糸にし、織機で織り上げることで、私たちがよく知るリネンの生地が出来上がります。

 

一株の亜麻がリネンになるまでには、収穫からレッティング、繊維の取り出し、紡績、製織まで、いくつもの工程が必要です。こうした長い工程を経て、丈夫で美しいリネンが生み出されています。

 

さらに詳しい亜ちリネンについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

亜麻とリネンの関係とは?特徴・歴史・魅力をわかりやすく紹介

 

 

亜麻と麻の違い

 

「亜麻」と「麻」は似た言葉ですが、厳密には同じものではありません。

 

亜麻は、アマ科アマ属の植物そのものを指す名称です。

一方、「麻」は日本では古くから、茎などから繊維を採る植物や、その繊維を広く指す言葉として使われてきました。

 

代表的なものに、亜麻から採れるリネン、苧麻(ちょま)から採れるラミー、大麻から採れるヘンプなどがあります。

いずれも主に茎の靭皮部分から繊維を採る植物ですが、植物の種類も、繊維の性質もそれぞれ異なります。

 

なお、日本の繊維製品の品質表示では、「麻」と表示できるのは亜麻(リネン)と苧麻(ラミー)です。

ヘンプは同じ靭皮繊維の仲間ですが、表示上は「植物繊維(ヘンプ)」などと区別されています。 

 

麻の種類一覧

主に衣料用として使われている代表的な3つの麻の種類と、それぞれの特徴・主な用途を一覧表にまとめました。

 

麻の種類 繊維の原料となる植物 特徴 主な用途
リネン アマ科の「亜麻」 しなやかでなめらかな風合い。吸湿性・速乾性に優れ、使うほど風合いが変化する シャツ、ブラウス、寝具(ベッドシーツなど)クロス類
ラミー イラクサ科の「苧麻」 繊維にハリとコシがあり、清涼感が強い 夏物の衣服、着物、ハンカチ
ヘンプ アサ科の「大麻」 繊維が丈夫で、ハリとコシがある 衣類、帽子、バッグロープ

 

亜麻仁とは?

 

亜麻仁とは

亜麻仁(アマニ)とは、亜麻の種子のことです。

見た目はゴマにも似ていますが、小さな涙型をしており、茶色や黄金色などの種類があります。

 

亜麻仁の大きな特徴の一つが、その栄養成分です。

脂質にはオメガ3系脂肪酸の一種であるα-リノレン酸が多く含まれるほか、食物繊維や、植物性ポリフェノールの一種であるリグナンなども含まれています。

 

種子はそのまま、あるいは焙煎や粉末加工などをして食品に利用されるほか、種子から搾った油は亜麻仁油として利用されています。

 

亜麻仁油とは

亜麻仁を圧搾して得られる油が「亜麻仁油(アマニ油)」です。

亜麻仁油の大きな特徴は、オメガ3系脂肪酸であるα-リノレン酸を多く含んでいることです。α-リノレン酸は、人の体内でつくることができず、食事から摂取する必要がある必須脂肪酸の一つです。

 

亜麻仁油にはさまざまな製造方法がありますが、低温で圧搾するコールドプレス製法など、亜麻仁が持つ風味や特徴を生かした製品もつくられています。

 

健康オイルとして、幅広い世代から絶大な支持を得ています。

 

亜麻がサステナブル素材として注目される理由

 

近年、亜麻は食品や天然繊維としての利用だけでなく、環境との関わりからも注目されています。

 

比較的少ない水で栽培できる

亜麻は、自然の降雨を利用した露地栽培が基本です。北海道の亜麻栽培でも、通常は灌漑(かんがい)を行わず、自然の雨を利用して育てています。

 

一方、世界各地で栽培されるコットン(綿花)は、地域によって灌漑に多くの水を必要とします。欧州環境庁(EEA)では、綿1kgの生産に約10m³の水が使われると推計しており、繊維産業における水使用の大きな要因の一つとされています。

 

こうしたコットンとの違いからも、亜麻は水資源への負荷が比較的小さい天然繊維として注目されています。

 

植物のさまざまな部分を活用できる

亜麻は、植物のさまざまな部分を用途に応じて利用できることも特徴です。

 

茎から採れる繊維はリネンとなり、種子は食品や亜麻仁油に利用されます。また、繊維を取り出した後に残る木質部は敷材や建築材料などに、油は塗料や画材などにも利用されてきました。

 

一つの植物から衣・食・住にまたがる多様な素材を生み出せることも、亜麻の大きな魅力です。

 

まとめ

 

可憐な青い花を咲かせる亜麻は、古くから人々の暮らしと深く関わってきた植物です。

茎からはリネン、種子からは食品や亜麻仁油が生まれ、さらに塗料や画材、建築材料などにも利用されてきました。

 

古代から受け継がれてきた長い歴史を持ちながら、サステナブルな天然素材としても改めて注目されている亜麻。

その用途の広さと、植物をさまざまな形で生かすことのできる特徴は、現代の暮らしの中でも大きな魅力となっています。

 

亜麻公社は、かつて北海道の開拓期を支え、時代の流れとともに一度は姿を消した亜麻を、この地にもう一度根づかせる取り組みから始まりました。

 

 

現在も北海道・当別町で生産者とともに亜麻を育て、亜麻仁油や亜麻仁を使った食品をはじめ、亜麻という植物の魅力を暮らしに生かすさまざまな製品づくりに取り組んでいます。

 

北海道で育った亜麻が、どのような製品になっているのか、興味を持っていただけましたら、ぜひ亜麻公社の公式通販もご覧ください。

 

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